2016年11月25日金曜日

W/F ダブル・ファンタジー

ダブル不倫・ときどきつまみ食い。物議を醸した恋愛小説。



発売当初物議を醸したこの本を、この時期に急いで読んだのにはワケがある。
週刊文春で、続編の連載が始まったのだ。
この「ダブル・ファンタジー」が連載されていたときにも文春は読んでいたが、スルーしたのが今となっては悔やまれる。

いつだったか、ある週刊誌(どの週刊誌かわからない)で連載されていた村山さんの「なんちゃら」という小説に(題名も思い出せない)はまったことがあった。
その小説の中の一人がホントにいい男で、アウトローな雰囲気を醸し出したイケメン(想像)だったのだ。
連載が終わってしまって、どんなに嘆いたか!
ストーリー展開しなくていいから、イケメン描写だけでも永久に続けて欲しかったくらいだ。

それから村山さんに興味を持ち、今回の連載を読もうと思ったのだが、私はどうにも続きや続編から読むことに抵抗があり、だから色んな事をすっ飛ばしてでも本書を読もうと思ったのだ。

主人公は35歳の脚本家・奈津。
性的欲求が強い奈津は、既婚者ながら様々な男性と恋愛を重ねていく。大御所の脚本家や、学生時代の先輩とのダブル不倫。
そしてお坊さんや俳優、挙げ句の果ては出張ホストまでつまみ食いしていくという物語である。

簡単にいうとたったそれだけの恋愛話を494ページにまで膨らませ、一気に読ませるのだからすごい。
丁寧な心情描写と独特のキレイな表現はとても新鮮に感じた。
中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・島清恋愛文学賞のトリプル受賞作でもある。

でも、共感する部分はいくつかあったものの、残念ながらいまいち話に乗れなかったのである。

せっかくいい男とくっついたのに、他の男にいってしまうなんて。
結局、奈津はどんな男だろうと飽きて別れてしまうんじゃないの。

そう考えて、冷めた目で奈津を見てしまったのだ。
男女の関係は、ジェットコースターのような激しいものよりも、穏やかで安らげる方がいいと私が考えるのは、恋愛戦線から離脱して久しいからなのかもしれない。
ベタな甘い恋愛ものは好きなんだけどな。

インタビューでご自身も「欲求が強く、淫乱だと思っていた」とおっしゃる村山由佳さんは、現在52歳。
40歳過ぎてからタトゥーを3箇所に入れたりと、まだまだ現役感ムンムンで、2度の離婚を経て現在新たなパートナーと同居中なんだそう。

そんな村山さんが「行き止まりのない性愛を描き尽くす」という続編は、「ダブル・ファンタジー」から9年後。43歳になった主人公・奈津の恋愛が再び始まるのだ。

今は、「体以上に心が満ち足りている」という村山さん。
円熟した大人の関係を築くのか、それともまたまた激しい欲望の渦に巻き込まれるのだろうか。



※裏表紙を見てびっくり‼
ヘアヌードだったのです。
これではカバーなしで読めません。

※本書が「ダブル・ファンタジー」、続編の題名は「ミルク・アンド・ハニー」。
ジョン・レノンとオノ・ヨーコだったんですね。

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