長岡弘樹著
小学館
事件は会議室で起きているんじゃないっ!警察学校で起きてるんだっ!!
警察学校を舞台にした小説「教場」。
「教場(きょうじょう)」とは、警視庁のHPによると警察学校におけるクラスのことらしいが、教室の事も指しているようである。
警察学校に入学した初任科第98期短期課程の学生たちが、厳しい訓練の中ストレスを溜めて、次々と事件を起こしていく。
そして、何でもお見通しの担任・風間教官が、いとも簡単に解決していく。
・・・という短編連作集である。
面白くて途中でやめられず、一気読みしてしまった。
しかし、事件が起こりすぎじゃないだろうか。
警察官の卵たちが、犯罪スレスレの事件や犯罪そのものを犯していくのだから、青島刑事が聞いたら怒りそうだ。
実際の警察学校もこうなのだろうかと興味がわいてきた。
こんなにもストレスがかかり、こんなにも事件が起こるのだろうか?
いや、事件はそうそう起こらないだろうけど(^^;
気になって検索してみると、あちこちの県警が採用案内でカリキュラムや一日のスケジュールを紹介していた。
法律、実務教養、柔道・剣道・逮捕術、拳銃・・・
これがまさに本書のような授業内容で、なかなか興味深い。
治安を守る仕事なのだから厳しいのは当たり前だろうが、ちょっと前まで学生だった身にはストレスがかかるのだろう、「警察学校4人に1人退職」という記事を見つけた。
(神戸新聞の記事)
県警採用HPには、クラブ活動や食堂で楽しそうにしている写真が多数掲載されているのだが。
本書に「警察学校は、優秀な警察官を育てるための機関ではなく、適性のない人間をふるい落とす場所である」というセリフがあった。
こうして個性を失くし「警察官」という型にはめられていくのだろうか。
正義感は人一倍あっても、要領の悪い人間はふるい落とされてしまうのだろうか。
いや、そうではないと信じたい。
それぞれ志を持って警察官を志望したのだから。
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