2014年5月13日火曜日

ルーズヴェルト・ゲーム

池井戸潤著
講談社

二番煎じ?二匹目のどじょう?いやいや、それでもやっぱり面白い。「倍返し」の次は「大逆転」だっ!!



TBSで放送されているドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」を毎週録画して見ている。
「半沢直樹」が当たったからってまた安易な企画通して…と思っていたが、見始めたらこれがなかなか面白い。
カメラワークや演技が似通っている、出演する俳優が重なっている、ということもあり、「まさしく半沢直樹や~!」と突っ込みながらも、楽しく見ている。
それにしても、香川照之が画面に登場すると一瞬にして「香川劇場」となってしまうのはどうなんだろうか。
半沢直樹の時よりだいぶ抑えた演技なんだけどなぁ。

ドラマの原作本がこの「ルーズヴェルト・ゲーム」
今、飛ぶ鳥を落とす勢いの池井戸潤さんの小説である。

中堅電子部品メーカーの青島製作所は、不景気の中、経営不振に喘いでいた。
大口取引先からは生産調整や単価の引き下げを要求され、競合他社から目の敵にされ、銀行からは融資を渋られ、どんどん窮地に追い込まれる。
一方、かつて社会人野球の強豪チームであった野球部も、今では弱小チームとなってしまった。
年間3億円の経費がかかる野球部は廃部にすべきだとの声があがる。
会社も野球部も、まさに崖っぷちなのだ。

題名の「ルーズヴェルト・ゲーム」とは、かつてルーズヴェルト大統領が、「野球の試合でもっとも面白いスコアは8対7だ。」と言ったことから来ている。
(本当に言ったのかどうかは知らないけど。)

池井戸潤さんの小説は、わかりやすい勧善懲悪で、最後は主人公が勝利するというパターンが多い。
本書も、倒産寸前まで追い詰められた会社と、廃部の危機に瀕する野球部の存続をかけた戦いが並行して描かれ、追い詰められては反撃し、また苦境に立たされては這い上がっていく逆転物語である。

現実には善悪が混在していて、こうもはっきり分かれることはない。
そんなに都合よく話が進まない。
そうわかっていても、読んでいると物語の中に入り込み、登場人物たちと一緒に熱くなってしまうのだ。
銀行勤務の経験を活かし、ストーリーにリーマンショック・企業のスポーツ離れ・リストラなど社会的事柄を織り交ぜている上手さがあるからだろう。
野球部の試合を一緒に応援し、えげつない仕打ちに悔し泣きし、それぞれの熱い想いに感動しながら楽しむことができた。

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