2013年11月25日月曜日

花々

原田マハ著
宝島社

あの号泣恋愛小説「カフーを待ちわびて」のサイドストーリー。



本書は、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞した『カフーを待ちわびて』 の与那喜島を舞台とした連作短編集である。
1編ごとに「鳳仙花」「デイゴの花」など、花の題名がついている。
「カフー」の主人公である明青と幸の名前も出てくるが、ストーリー的には続きではなく独立した物語になっている。

母の介護や色々なことに疲れてしまい、故郷の岡山から逃げ出すように与那喜島にやって来てアルバイトをしている純子。
一方、与那喜島で生まれ育ち、現在は故郷を離れ大企業で働いている成子。
対照的ではあるが、人生に疲れ傷ついた二人が出会い、それぞれの道を歩んでいく。

「カフーを待ちわびて」と同じように静かに流れる時、美しい風景をバックに話が進んでいき、哀しくも温まる素敵な物語になっている。

「カフーを待ちわびて」「さいはての彼女」 、 そしてこの「花々」と原田マハさんの「美術系」でも「楽しい系」でもない、静かな物語を続けて読んできたが、やっぱりこういった話が私は大好きなのだと改めて思った。
「カフー」のような号泣恋愛物語ではないが、読後に温かな気持ちになれ、沖縄の余韻に浸っていたくなる1冊である。

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