2013年2月24日日曜日

性愛空間の文化史

性愛空間の文化史
金益見著
ミネルヴァ書房

春を売る場所から娯楽施設へ。性愛空間の変遷。


初めてそういう空間に足を踏み入れたのは、16歳のときだった。
老舗M.Eのスイートルームを借り切って、女子10人ほどで女子会をしたのだ。
2階建ての豪華なその部屋で、何が楽しかったのかゴントラに乗り何往復もしたり、みんなでベッドに寝そべったりとはしゃぎまくった2時間だった。
特殊な椅子を見たのはその時が最初で最後だった。
今でもそんな女子会は楽しいと思うのだが、友人たちに声かけたら引かれてしまうかもしれない。

本書は、大学の卒業論文をまとめた「ラブホテル進化論」で美しい若い女性が…と話題になった著者が、大学院の博士論文を加筆修正してまとめたものである。
広告や警察白書・経営者のインタビューを基に、性愛空間の変遷を丁寧に追っていく。

江戸時代後期に男女が密会に利用した貸席「出会い茶屋」をルーツとして、狭い住宅事情を追い風に、人目につかない「性愛空間」は連れ込み・さかさくらげ…と呼び名を少しずつ変えながらどんどん進化していく。

アメリカでは車で旅するときに泊まるホテルであったモーテルが、日本では駐車場から直接部屋に入れ誰にも顔を見られないことから急速に発展した。
この頃(昭和40年代)から「玄人の女と男」というペアだけでなく、普通のカップルも増えていったという。
それだけ一般社会に溶け込んでいったのだ。

その後、回転ベッドや鏡などゴージャスさを前面に出したラブホテルが台頭し、性愛空間は連れ込んだり連れ込まれたりするのではなく、カップルで一緒に入るという感覚になっていく。
そうなると、ホテルを選ぶときにも女性の意見が取り入れられ、ゴテゴテのお城のようなホテルからシンプルなマンション風のホテルが作られるようになった。

最近は多様化し、ファミリーで泊まったりビジネス客にも対応したり、女子会プランがあるラブホも増えているらしい。
一方、シティホテルやビジネスホテルがデイユースとして休憩もできるようになっているのだから、ラブホとの境目が少しずつ曖昧になってきているようだ。
また、カラオケボックスなど二人きりになれる場所も多様化してきているため、「性愛空間」は生き残りをかけてまた新たな進化を遂げるのかもしれない。

なかなか勉強になった一冊だった。
海外事情やレンタルスペースなど性愛空間についての興味はつきないので、これからも著者の研究に注目していきたい。

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