2017年4月15日土曜日

あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇

商い中心の話になり、俄然面白くなってきた!大坂の呉服商に嫁いだ幸の成長物語。

髙田郁著
角川春樹事務所



学者の家に生まれた主人公の幸(さち)は、子どもの頃から知識欲が旺盛だった。
父の死後、大坂の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公することになる。

ときは「商い戦国時代」。
知恵を武器に商いの戦国武将となるべく奮闘する幸の成長物語である。

第1巻源流篇では、兄と父を立て続けに亡くし、大坂の呉服商「五鈴屋」に奉公することになる。

第2巻早瀬篇では、その聡明さを買われ、ろくでなし店主・4代目徳兵衛の後添いとなるが、夫を不慮の事故で失う。

そしてこの第3巻奔流篇では、4代目の弟である5代目徳兵衛の妻となり、知恵と工夫で夫を支えながら奮闘していく。

「商いの戦国武将になる」と言っても、幸は「お主も悪よのう」でお馴染みの悪代官とセットである悪徳商人や、守銭奴・銭ゲバのような人物ではもちろんない。
聡明で商才はあるが、商いに情けは無用と考える夫と周りとの潤滑油のような存在だ。
そこに髙田郁さんならではの優しいエッセンスが振りかけられ、思わず応援したくなる芯の強い女性として描かれている。

第3巻に入り、店の名前を広める工夫をしたりと商い中心の話になって、俄然面白味が増してきた。
波乱含みのラストだったが、幸ならきっと乗り越えていくだろう。
期待しながら、次巻を待ちたい。

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