2013年6月25日火曜日

神去なあなあ夜話

三浦しをん著
徳間書店

あの神去村の日常がちょっと「あだると」になって帰ってきた!




横浜育ちの 平野勇気 が高校卒業後、山奥の神去村で林業見習いを始めた前作「神去なあなあ日常」の続編。

「なあなあ」とは、「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」という意味から「いいお天気ですね」「どうもー」まで、まぁ便利に使える神去村の言葉である

この「神去なあなあ夜話」では、勇気も二十歳になり見習いから正社員に昇格し、より逞しく成長した姿を見せてくれる。

神去村の名前の由来となった神様の話
下宿先のヨキ夫婦の馴れ初め
お稲荷さんに失せ物探しや紛争解決を頼む話
片想い中の直紀との関係
など、相変わらず楽しそうな様子が伝わって来る、7話から成る連作短編集だ。

クリスマスツリーに七夕風の飾りを飾るちょっと和風なクリスマスパーチーや、
繁ばあちゃんが勝手にパソコンで書いた勇気と直紀さんの恋物語に大笑いしたり、
過去に神去村を襲った悲劇にしんみりしたり、
今回も大いに村の生活を満喫させてもらった。

自然に囲まれて暮らしていると、自分の力ではどうしようもない事故や天災が身近にあり、山の神様や大木を敬う気持ちになる。
信心深く、縁起かつぎにこだわるのにも訳があるのだということがよくわかる。

三浦しをんさんの小説、その中でも特に職業小説はアダルトな表現さえなければ中高生に薦めたいのになぁとずっと思っていた。
この「夜話」を読んで、そんなこともうどうでも良くなってきた。
これがしをんさんなんだ、アダルトがあるからしをんさんなんだ、と思えてきたのである。

勇気が山の美しさや恐ろしさにどんどん惹かれていき居心地よく過ごしていくうちに、
私ももうすっかり神去村の面々と仲良くなった気になってきた。
訪ねていったら「なあなあ」と言いながら歓迎してくれる・・・かな?

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