2013年6月4日火曜日

脳はこんなに悩ましい

池谷裕二、中村うさぎ著
新潮社




本書は、脳研究者の池谷裕二氏と中村うさぎさんの対談集である。

脳について、素人が専門家に色々と質問する・・・そんな構図を想像していたのだが、
いやぁ、素人というには中村うさぎさんはあまりに鋭く、知識も豊富で驚いた。

お二人は、最新の論文をもとに様々な事柄について語り合っていく。

「他人の失敗を喜ぶ」ことは醜いと言われるが、脳は喜ぶようにプログラムされている。
何かを暗記するときには、眺めて覚えるよりも確認テストを何度もした方が記憶の定着がいい。
精子には、味覚センサーや臭覚のアンテナがある。
言葉を話す鍵となる遺伝子「FOXP2」をネズミに組み込むと、鳴き方が変わった。・・・

話題が次から次へと目まぐるしく変わり、読者を飽きさせない。

中でも一番気になったのが、遺伝子の話題だった。
お二人が、99㌦で遺伝子検査を受けたのだ。

お二人の両親ののルーツ、髪の毛の特徴、耳アカのタイプから、ガン、心臓疾患、精神病などの病気になる可能性、アルコール・ニコチン・カフェイン・ヘロインの依存性までわかってしまうのだからちょっと怖い。

また、ヒトにも「浮気遺伝子」があり、それを持っている人は、離婚率が2倍以上も高いらしい。
ということは、浮気もその人のせいではなく、遺伝子のせいだという言い訳も成立するのだろうか。

将来、遺伝子で相性をマッチングする結婚相談所ができるかもしれない。
そうなった場合、浮気遺伝子を持たない男が人気になるのだろうか。

肥満遺伝子は有名だが、遺伝子検査で高脂肪食で太りやすいとか、食事制限によるダイエットは効果が弱いとかまで、分析できるそうだ。
ああ、私が太っているのもきっと遺伝子のせいなのだ。
せっかく痩せようと決意しているのに、いくら努力しても生まれつき太るようにプログラミングされているのなら、悪あがきはやめて好きなものを好きなだけ食べたほうがいいのだろうか。
効率よく痩せるために、遺伝子を調べてもらったほうがいいだろうか。
でも、悲しい結論を突きつけられたらショックだな。
う〜ん、悩ましい。

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