武士道エイティーン
誉田哲也著
文藝春秋
彼女たちの成長はまだまだ続く。
剣道に打ち込む女子高生の青春物語である「武士道シリーズ」の第3弾。
「武士道シックスティーン 」 「武士道セブンティーン」 に次いで、本作では18歳になった彼女たちが描かれている。
男勝りの 香織 とおっとりマイペースな 早苗。
前巻までは、この対照的な二人の視線で交互に物語が語られてきた。
この「エイティーン」ではそれに加えて、モデルをしている早苗の姉、香織の剣道の師匠である桐谷先生、福岡南高校剣道部を指導している吉野先生など、彼女たちを取り巻く人物の視点からも語られていて、物語が大きく広がっていく。
個人的には、とりわけ桐谷先生の話が興味深かった。
先祖の職業に関する秘密、そしてなにより警察の逮捕術にも繋がる独特の武術が、体育会系の私としては読み応えがあったのだ。
それぞれの道を邁進していく彼女たちは、逞しくそして眩しい存在になってきた。
この「エイティーン」でもまたまた彼女たちには試練が待ち構えていたが、もう私が心配するまでもないだろう。
そして何より嬉しいことに、解説に続編が期待できるようなことが書いてあった。
ある方がこの「エイティーン」は「これで卒業、もうこの二人に会えないのだと思うと何だか寂しさが込み上げてきて未だに手を付けられません」とおっしゃっていた。
私もそれを聞いてもったいないような気がして読むのを躊躇していたが、読んでよかったと今なら思う。
こんなにも成長した彼女たちに出会えたのだから。
そして、これで終わりではなく彼女たちの物語はまだまだ続くのだから。
いつの日か、より成長した彼女たちに再会することを心待ちにしている。
2013年3月31日日曜日
2013年3月29日金曜日
植物図鑑
植物図鑑
有川浩著
幻冬舎
ほ、欲しい…この男が欲しい!
あちこちで見かけ気になっていた。
自分が読んだらどう感じるのかと思い手にとった。
あらすじは、
一人暮らしのOLが、自宅マンション前に行き倒れになっていた男を拾い、一緒に暮らすことになった。
その男・イツキ は植物に詳しく近所に生えている植物で絶品の料理を作ってくれる。
おまけに家事は完璧で節約家でイケメンで(たぶん)・・・
という内容だ。
行き倒れになっていた見ず知らずの男をいきなり家に連れ込む一人暮らしの若い女がいるかっ!
困っているからといって知らない女に「拾ってください」っていう男がいるかっ!
都合よく、野草を使った料理が得意で優しくて家事全般をしてくれる奴なんているかっ!
・・・というありえない設定だとわかっていながらも、すぐに夢中になってしまった。
そうは言っても別に恋愛目線で見ていたわけではない。
こんな男がうちに来てくれたら、楽できるし食費も節約できて健康料理が並び、痩せられるかもと考えていたのだ。
【だって奥様、月々4万円で2人分の食費とお小遣いを賄い、しかも家事を完璧にしてくれるんですのよ。しかも躾がよくて噛まないよい子なんですから拾いたくなるじゃありませんか!
もし通販で売っていたら買いたくなりませんか?】
などと少し斜に構えて読んでいたのにも関わらず、不覚にも中盤くらいから一気にハマってしまった。
乙女心を打ち抜かれてしまったのだ。
女の喜ぶツボをよく知っている男、身の回りのお世話をしてくれる男、そんな人いないのだと分かっていても夢中になってしまった。
草食系は好みではない、男は肉食系の方が断然いいっ!と思っている私だが、この イツキ は草食系のようでもあるがときには大きな決断をする。
なんて理想的なのだろうか。
作者が女性だから、願望を描いいたのだろうか。
たまにはこんな少女漫画の王道のような物語もいいな♪と思わせてくれた一冊だった。
有川浩著
幻冬舎
ほ、欲しい…この男が欲しい!
あちこちで見かけ気になっていた。
自分が読んだらどう感じるのかと思い手にとった。
あらすじは、
一人暮らしのOLが、自宅マンション前に行き倒れになっていた男を拾い、一緒に暮らすことになった。
その男・イツキ は植物に詳しく近所に生えている植物で絶品の料理を作ってくれる。
おまけに家事は完璧で節約家でイケメンで(たぶん)・・・
という内容だ。
行き倒れになっていた見ず知らずの男をいきなり家に連れ込む一人暮らしの若い女がいるかっ!
困っているからといって知らない女に「拾ってください」っていう男がいるかっ!
都合よく、野草を使った料理が得意で優しくて家事全般をしてくれる奴なんているかっ!
・・・というありえない設定だとわかっていながらも、すぐに夢中になってしまった。
そうは言っても別に恋愛目線で見ていたわけではない。
こんな男がうちに来てくれたら、楽できるし食費も節約できて健康料理が並び、痩せられるかもと考えていたのだ。
【だって奥様、月々4万円で2人分の食費とお小遣いを賄い、しかも家事を完璧にしてくれるんですのよ。しかも躾がよくて噛まないよい子なんですから拾いたくなるじゃありませんか!
もし通販で売っていたら買いたくなりませんか?】
などと少し斜に構えて読んでいたのにも関わらず、不覚にも中盤くらいから一気にハマってしまった。
乙女心を打ち抜かれてしまったのだ。
女の喜ぶツボをよく知っている男、身の回りのお世話をしてくれる男、そんな人いないのだと分かっていても夢中になってしまった。
草食系は好みではない、男は肉食系の方が断然いいっ!と思っている私だが、この イツキ は草食系のようでもあるがときには大きな決断をする。
なんて理想的なのだろうか。
作者が女性だから、願望を描いいたのだろうか。
たまにはこんな少女漫画の王道のような物語もいいな♪と思わせてくれた一冊だった。
2013年3月27日水曜日
さよなら、韓流
さよなら、韓流
北原みのり著
河出書房新社
「冬ソナ」から10年。韓流にハマった女の記録。
私の周りにも韓流にハマっている友人がいる。
彼女たちに「すごくいいから観て」と言ってDVDを押し付けられることもあった。
でも、時間がないからといって丁重にお断りしている。
だってハマったら怖いではないか!
彼女たちは韓流のどこに魅力を感じているのだろうか。
本書は「毒婦。」の著者が韓流にハマった記録である。
また、自称「モテない無名のオカマ」の少年アヤちゃん、牧野江里さん、上野千鶴子さんらとの対談も掲載されている。
「宮廷女官チャングムの誓い」を見て韓流に「落ちて」しまったという著者によると、
韓流の男は「エロ」であり、女が自分の欲望をストレートに出せる対象なのだという。
魅力は「端正な顔立ち」「男らしい肉体美」「優しい言葉」「エンターテインメントの質が高い」などらしい。
「端正な顔立ち」や「優しい言葉」はともかく、「肉体美」はその通りだと思う。
日本人の男性アイドルは、薄い胸板と細面の青白い顔でどうしてあんなに中性的なんだろうと思っていた。
見ていると好きとかカッコいいとかより、「体にいいものいっぱい食べて運動しようよ」と大きなお世話を口にしたくなってしまう。
(私の好みは、インパルス堤下や中山きんに君のようなタイプなので)
「少女漫画の中にしかいない人が実写で出てきた」という言葉はなるほどと思った。
友人も同じようなことを言っていたのだ。
実在するバーチャルなアイドルという感じなのだろうか。
韓流の聖地・新大久保では、「老若女女」がK-POPで身体を揺らし、
イケメンにハグやハンドマッサージをしてもらって満足するのだという。
男に比べてどれだけ単純で安全な遊びだろうか。
しかも女性ホルモンが活性化し、語り合う友人が増え…といいことづくめのように書かれている。
(家族よりも韓流を優先し、今日はファンミ、週末は韓国にと飛び回っている方もいると思うのだが。)
かわいそうに思ったのが、韓流男を好きな日本人男性ファンだ。
お目当て以外の男がイヤでしょうがなく、自分たちの世界を邪魔する日本の男は、完全無視されるか白い目でみられるという。
同じファンなんだからもう少し優しい目で見てあげてほしい。
ただこの韓流を取り巻く空気は、急速に変わりつつあるという。
フジテレビ前のデモや領土問題も関係あるのか、著者のもとには「9cmがいいのか」「非国民」などの罵りの言葉が送られ、叩かれているらしい。
そこには「韓国男にハマる日本人の女」と「それを許したくない日本の男」という単純な構図ではない、深い溝がありそうだ。
前のめりに熱く語られ、「はぁ、そうなんですか…」と思う場面が何度もあったが、知らない世界の話なので興味深く一気読みした。
ただ、これだけ韓国男の魅力について熱く語られると、なおさら韓流のDVDを観るのが怖くなってくる。
ハマったら読書の時間もなくなってしまいそうだし。
これから彼女たちはどこへ向かって行くのだろうか。
北原みのり著
河出書房新社
「冬ソナ」から10年。韓流にハマった女の記録。
私の周りにも韓流にハマっている友人がいる。
彼女たちに「すごくいいから観て」と言ってDVDを押し付けられることもあった。
でも、時間がないからといって丁重にお断りしている。
だってハマったら怖いではないか!
彼女たちは韓流のどこに魅力を感じているのだろうか。
本書は「毒婦。」の著者が韓流にハマった記録である。
また、自称「モテない無名のオカマ」の少年アヤちゃん、牧野江里さん、上野千鶴子さんらとの対談も掲載されている。
「宮廷女官チャングムの誓い」を見て韓流に「落ちて」しまったという著者によると、
韓流の男は「エロ」であり、女が自分の欲望をストレートに出せる対象なのだという。
魅力は「端正な顔立ち」「男らしい肉体美」「優しい言葉」「エンターテインメントの質が高い」などらしい。
「端正な顔立ち」や「優しい言葉」はともかく、「肉体美」はその通りだと思う。
日本人の男性アイドルは、薄い胸板と細面の青白い顔でどうしてあんなに中性的なんだろうと思っていた。
見ていると好きとかカッコいいとかより、「体にいいものいっぱい食べて運動しようよ」と大きなお世話を口にしたくなってしまう。
(私の好みは、インパルス堤下や中山きんに君のようなタイプなので)
「少女漫画の中にしかいない人が実写で出てきた」という言葉はなるほどと思った。
友人も同じようなことを言っていたのだ。
実在するバーチャルなアイドルという感じなのだろうか。
韓流の聖地・新大久保では、「老若女女」がK-POPで身体を揺らし、
イケメンにハグやハンドマッサージをしてもらって満足するのだという。
男に比べてどれだけ単純で安全な遊びだろうか。
しかも女性ホルモンが活性化し、語り合う友人が増え…といいことづくめのように書かれている。
(家族よりも韓流を優先し、今日はファンミ、週末は韓国にと飛び回っている方もいると思うのだが。)
かわいそうに思ったのが、韓流男を好きな日本人男性ファンだ。
お目当て以外の男がイヤでしょうがなく、自分たちの世界を邪魔する日本の男は、完全無視されるか白い目でみられるという。
同じファンなんだからもう少し優しい目で見てあげてほしい。
ただこの韓流を取り巻く空気は、急速に変わりつつあるという。
フジテレビ前のデモや領土問題も関係あるのか、著者のもとには「9cmがいいのか」「非国民」などの罵りの言葉が送られ、叩かれているらしい。
そこには「韓国男にハマる日本人の女」と「それを許したくない日本の男」という単純な構図ではない、深い溝がありそうだ。
前のめりに熱く語られ、「はぁ、そうなんですか…」と思う場面が何度もあったが、知らない世界の話なので興味深く一気読みした。
ただ、これだけ韓国男の魅力について熱く語られると、なおさら韓流のDVDを観るのが怖くなってくる。
ハマったら読書の時間もなくなってしまいそうだし。
これから彼女たちはどこへ向かって行くのだろうか。
登録:
投稿 (Atom)