2012年12月4日火曜日

天使と悪魔  上・中・下

天使と悪魔
ダン・ブラウン著
角川書店

それは地球を救うのか?それとも破滅させるのか?その人は天使なのか悪魔なのか?ダイ・ハードばりに不死身の主人公が一気に駆け抜けていく物語。



通常とは逆の電荷を帯びた粒子からなる「反物質」。
人類最強のエネルギー源でもあるが、非常に不安定で危険を伴う。
そんな「反物質」を初めて作り出した科学者が殺され、スイスにある優秀な頭脳集団、欧州原子核研究機構・セルンの実験室からサンプルが盗まれた。
科学者の胸には「イルミナティ」の紋章が焼印されていた。
イルミナティ---世界史上最も隠密な秘密結社であり、科学的真実の探求に生涯を捧げた人々の集まり。
そしてそれは、ずっと昔に消滅したと考えられていた「神の敵」と恐れられていた強力な悪魔集団だった。
セルンの所長に呼び出されたハーバード大学の宗教象徴学教授 ロバート・ラングドン が、謎に迫る。

この「天使と悪魔」を始め「ダ・ヴィンチ・コード」「ロスト・シンボル」のロバート・ラングドン・シリーズは長い間積んでいた。映画も見ていない。
あまりに有名な作品のため読んだ気になっていたのもあるが、歴史や美術・物理に関する知識が必要なのではないかと二の足を踏んでいたのだ。

高校時代に「物理」とは少し仲良くしたあと、やっぱりあなたのことは理解できないとこっちからフッてやった身。
世界史や美術は近寄りもしなかった関係。
そんな私でも読めるだろうかと不安を抱えながら、積ん読消化のため読み始めた。

読み始めると、そんな不安はすぐに飛んでしまった。
どんどんストーリーにのめり込んでいく。
そして、ダイ・ハードばりに不死身の主人公が一気に駆け抜けていくので、こちらも必死で追いかけるうちに、あっという間に読み終えてしまった。

こんな目にあってどうして助かるんだろう?と疑問に感じても、どんどん進んでいくストーリーに目が離せないのでゆっくり考えている暇などない。
どこからどこまでが事実なのか、どこからフィクションなのか、それも全くわからないが、ときに本を逆さまにしながら何とか食らいついてゴールまでたどり着いた。
久しぶりにハラハラドキドキと、読み終わった達成感を堪能した一冊だった。

読み終わった今、「ああ、ハリウッド映画的だな、エンターテインメント作品というのはこういう物語のことを言うんだな」と思う。
知識のある人もない人もそれなりに楽しめる娯楽小説で、話題になり映画化もされたことに納得する。

次は「ダビンチコード」だ。
でも、連続でこういった本を読むのには体力が必要そう。
少し休憩を入れてから取り組もう。

2012年12月3日月曜日

クリスマスツリー


円錐状の物に、一つ一つもみの葉やバラ、飾りをつけていきました。

2012年12月2日日曜日

興奮する匂い 食欲をそそる匂い ~遺伝子が解き明かす匂いの最前線

興奮する匂い 食欲をそそる匂い ~遺伝子が解き明かす匂いの最前線
新村芳人著
技術評論社

まだまだ解明されていないことがたくさんある「匂い」。そんな匂いを科学する入門書。



録画して毎週楽しみに見ている「探偵ナイトスクープ」。
先日、「オナラのニオイが好きな女性」が、複数の男性のオナラをホースで直接嗅いで喜ぶという衝撃の内容が放送された。
人の好みは多種多様だと理解していても、仰天した。

ヒトゲノムが解読されて嗅覚研究が大きく前進したとはいえ、匂いについてはまだまだ解明されていないことがたくさんあるのだという。
本書は、そんな「匂い」を科学的に解説した入門書である。

匂いの嗜好性は、後天的な学習によって形成されると考えられている。
その匂いを体験した環境に左右されるのである。
2歳児くらいまではまだ匂いに対して良い悪いという概念が存在していないという。
それならきっと「探偵ナイトスクープ」の女性は、幼少期にオナラと素敵な体験を結びつけているから「好みの香り」だと刷り込まれているのだろう。

その他
・調香師が、望みの香りを持つ分子を得るためには試行錯誤によるしかない。
・嗅盲--特定の匂いを嗅ぐことができない人がいる。(ということは自分では気付かなくても部分的に嗅盲の人がたくさんいるのではないか。)
・糞の悪臭の主成分・スカトールは、低濃度の場合花の香りがして香水にも利用されている。
・精子にも嗅覚受容体が機能しており、卵子のスズランのような香りにおびき寄せられて受精する。
・イヌは鼻がよいと言われるが、獲物である動物の匂いには敏感だが、それ以外の例えば植物の匂いに関してはそうでもない。
・様々な生物がフェロモンを利用してコミニュケーションを行っている。
と興味深い話がたくさん掲載されていて読み応えがある。

また、匂いとは直接関係ないが、機能を失ってしまった「偽遺伝子」の塩基配列には「終止コドン」が含まれているのですぐわかるという話は、素人ながらへぇ〜へぇ〜唸りながら興味深く読んだ。

※ここだけの話、「入門書」のようにわかりやすいとは言っても、化学式が出てくると途端に睡魔に襲われるという危機を乗り越えて読了した。