2012年12月16日日曜日

少年

少年
ロアルド・ダール著
永井淳訳
早川書房

予想のつかない、ワクワクする物語を書いたロアルド・ダール。
彼はどんな少年時代を送ったのだろうか。



『チョコレート工場の秘密』『マチルダはちいさな大天才』 『こちらゆかいな窓ふき会社』など、ワクワクするような児童文学や短編を発表したロアルド・ダール。

ノルウェー人の両親のもと南ウェールズで生まれ、6人兄弟(異母兄弟含む)の賑やかな家庭で育つ。
父親が船舶雑貨業で成功したため裕福な暮らしをしていた。
ダールがまだ3歳の時に姉と父を立て続けに亡くす。
7歳で男子校に入学し、9歳で寄宿舎に入る。
12歳でパブリックスクール入学。
18歳でシェルに就職。

本書は、そんなロアルド・ダール(1916-1990)の少年時代を中心に書かれた自伝である。

9歳の時いつも寄っていた駄菓子屋のいやなばあさんに仕返ししようと、ネズミの死骸をお菓子の瓶に入れたり、いけ好かない姉の婚約者がいつも吸っているパイプにヤギの糞を詰めたりと、今では考えられないイタズラをする。

学校にはイヤな先生がたくさんいて、何かと鞭打ちの刑にされてしまう。
学校には手ごわい上級生がいて、こき使われ、理不尽な仕打ちを受ける。
まるで、ダールの物語に出てくるような世界だ。

それでもこまめに母親に手紙を書き(全て残っているそう!)、毎年家族で楽しい旅行に行くという家族愛に恵まれすくすくと育ったダール。
やっぱりお菓子が好きだったんだなと思うエピソードもたくさんあり、少年時代の辛い体験、楽しい経験が作品につながっていくのだなと感じた。

そんなダールも学校での作文の成績は散々だった。
「論旨支離滅裂・語彙拙劣」
「級で最低の生徒」
「発想にみるべきものなし」
酷評した当時の先生方は、ダールの何を見ていたのだろうか、その後有名になってどう思ったのだろうか。

写真や当時出した手紙・イラストがたくさん掲載されていて、文章も読みやすく飽きさせない、さすがサービス精神旺盛なダールらしい、素敵な伝記だった。
青年期について書かれた「単独飛行」もぜひ読みたいと思う。

以下興味深かった箇所
・1934年当時、無帽・傘なしのサラリーマンなどいなかった。傘なしだと裸で外を歩くような気がした。
・卒業後、大学に行かずに遠く離れた素晴らしい土地へ行かせてくれる会社で働きたいとシェルに応募した。その後ライオンやキリンに会えると喜んで東アフリカに赴任した。


図書館で借りた表紙

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