2014年2月23日日曜日

ペテロの葬列

宮部みゆき著
集英社

納得いかない!どうしてこうなっちゃったの?こんな結末、悲しくてやりきれない!




本書は、「誰か Somebody」「名もなき毒」に次ぐ杉村三郎シリーズの第3弾である。
主人公の杉村三郎は、一大グループ・今多コンツェルンの会長の娘と結婚した。
その際出された条件通り、勤めていた出版社を退職し、今多コンツェルンの一員となりグループ広報室で社内報の編集をしている。
お嬢様育ちの妻に寄り添い続け、人畜無害で飄々としている杉村三郎だが、なぜかいつも事件に巻き込まれ解決していく、というシリーズである。

そして今回は・・・
取材先からの帰りに、杉村三郎はバスジャックに遭遇した。
犯人は本物の拳銃を持ってはいるが、弱々しいおじいさんだった。
しかも、7人の人質たちに多額の慰謝料を支払うというのだ。
発生から3時間余りで事件は呆気なく解決するのだが、慰謝料問題などで人質たちは事件後も翻弄されてしまう。
そして、犯人を調べていくうちに過去に起こった悪徳商法の事件が絡んでいることが明らかになっていく。

豊田商事など、ネズミ講まがいの詐欺事件は昔からあるが、その中で被害者と加害者の線引きは難しい。
その組織の幹部たちが一番悪いのは間違いないのだが、会員たちはどうだろうか。
口車に乗せられ虎の子の貯金を失ってしまった末端の会員は?
友人知人を誘いまくり、儲けようと必死になっていた会員は?
純粋にいい組織と信じ込み、親切心から知人に勧めていた場合は?
善意と悪意が入り乱れて、ハッキリしないグレーゾーンがあるのだと突きつけられ、悩んでしまった。

685ページという長編で、中盤辺りで中だるみというか、退屈する部分もあった。
強引すぎるなぁと思う箇所も多々あった。
しかし、犯人の老人はなぜこんな事件を起こしたのか知りたくて読んでいると、話が二転三転しどんどん予測のつかない方向へと進んでいく。

そして、納得いかないのである。
私が納得いかないのは、事件についてではなく、主役の杉村三郎の身辺についてである。


以下ネタバレ。



会長の娘である妻が今多コンツェルンの社員と不倫し、二人は離婚することになったのだ。
妻は浮気をするようなタイプじゃないと思っていたのに。
浮気相手だって、神のような存在である会長の大切な娘と不倫するとは!
そんな大胆なことするだろうか!
かわいい一人娘を傷つけることになるのに!
これじゃあ、妻に尽くし続けた杉村があまりに可哀想じゃないかっ!!

なんでこうなるの!とこのシリーズのファンとしては納得いかない。
もしかしたら「まぁまぁ、落ち着いて。この先を見届けてちょうだいな。」という戦略なのだろうか。

2 件のコメント:

  1. 名もなき毒を読んだことがあるので
    私も主人公の杉村さんの行く末、納得いきません。
    そんなはずない~と思いたくなる~
    たまらずネタバレ読んじゃった(^_^;)けど、
    寂しい。実は真相があるんじゃない!?続きがあるとか・・・

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  2. そらさん♪ ネタバレ読んじゃったの(笑)
    ホント、納得いきません!
    宮部みゆきさんのことだから、きっと幸せな続きを書いてくださると信じています!!

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