2012年2月29日水曜日

子供の名前が危ない

子供の名前が危ない
牧野 恭仁雄著
ベスト新書


虹空(にっく)、葉萌似(はーもにー)・・・「珍奇」な名前が増えている子供の名前。 名づけの第一人者である著者が警鐘を鳴らす。これから名づけを経験される方に是非読んでもらいたい一冊。



著者は命名研究家。
早稲田大学理工学部卒、一級建築士。建築の研究のかたわら、ライフワークとして易学、占い、漢字、名づけの研究をスタート。以来、30年以上の研究を続け、日本の名づけの第一人者。

私自身は、ありふれた名字で、名前には「子」が付いている。
だから、子供の頃は変わった名字で、「子」が付かない、かわいい名前(と自分が思っている)に憧れていた。
しかし、この本を読むと変わった名前で苦労した人がたくさんいることがわかる。

円丸(まとまる) 勇敢(かりぶ)・・・
最近、驚くような名前が増えてきたなぁと感じている方も多いと思う。
この本には、「珍奇」な名前で苦労する例がいくつか載っている。
著者は、単に変わった名前がいけないと言っているのではない。
ケント・アンナ等の漢字にしやすい名前のことではなく、
読めない字、繭・邇など電話で説明できない字、からかわれやすい等、
本人や他人にとって難点がある名前はやめた方がいいとアドバイスしているのである。

「名前で親がバカとわかって便利」と見下されたり、結婚・就職に不利であったりするという。
「人事担当者は誰にも読めない名前のものを遠ざけたくなるというのが本音」という個所は
あり得るなぁと思った。

名づけには世相が反映されるというのはよく言われることだが、
著者は「その時代に手に入り難いもの」が反映されているという。
戦時中は勇・武・進、バブルの頃は愛、そして平成では空・樹等の大自然に関する字と優が圧倒的だという。

そして著者は、名づけに関して「無意識」や親の無力感、日本社会全体の問題を絡めてわかりやすく解説してくれる。
最後の第8章では、「正しい名づけの方法」を具体的に示している。
これから名づけを経験される方には大変役に立つと思う。

不幸にもすでに珍奇ネームをつけてしまった親、つけられてしまった子供たちにも著者はエールを送る。
「嘆く必要はありません。天から与えられた試練です。」と。

わかりやすく、著者の真面目な姿勢が伝わってくる大変いい本であった。

最近私が一番びっくりした名前は、「光宙」(ぴかちゅう)だった。
幼稚園や小学校の先生方は苦労されてるのではと思う。

光宙くんが、大きくなって「進化したから」と言って「雷宙」(らいちゅう)くんに改名しない事を願う。

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