2012年3月25日日曜日

マスカレードホテル

マスカレードホテル
東野圭吾著
集英社

高級ホテルを舞台にした東野圭吾小説家25年記念作品第3作。これぞ本領発揮の東野作品であった。


「犯人について何も手がかりがなくて、誰が狙われているのかもわからないのに、次にこのホテルで事件が起きることだけはわかってるんですか。」
「あなたはホテルマンの鑑だ。」


一流ホテル「ホテルコルテシア」。
連続殺人事件の次の舞台はそのホテルで起きるはずだという。
そこで、事件を未然に防ぐため、警視庁の刑事たちが従業員に扮する潜入捜査が始まった。
優秀なフロントスタッフの山岸尚美とコンビを組んだのが刑事新田浩介。
最初はお互い印象が悪かったが、時が経つにつれ信頼関係が芽生えていく。
果たして、本当に殺人事件は起こるのか・・・?

マスカレード----仮面舞踏会ということで、表紙には仮面がデザインされている。

著者はインタビューで
大人が大人らしくいられる最後の砦であるホテルそのものが主役であるような小説を書いてみたかった。
刑事とホテルマン二人の目線から、訪れる客たちを描くことでホテルという世界を伝えよう。
テーマは、「プロフェッショナリズムとは何か」である。
と語っている。

東野長編作品ということで読む前から期待してしまうが、さすがであった。
これだけ量産しているのにもかかわらず、一気に読ませてくれる、エンタメミステリーの王道のような小説だった。

フロントの尚美がとにかくかっこいい。
様々な客がやってくるホテルで、時にはクレーマーの様な客もいる。
「お客様がルール」と言って、見事な対応をする尚美にこれがプロの仕事だと喝采を送りたくなった。
それに引き換え、シリーズ化されるという主役の刑事・新田が子供じみている。
プライドが高く、すぐ顔に出たり、手柄を立てようと焦ったり・・・
でも、やはり彼もプロなのである。ホテルマン姿も様になっていき成長していく。
そして、キーマンとも言える冴えない中年警官・能勢の、優秀だが人をたて裏役に徹する姿勢にまたプロを見た。

私にとってこの本の魅力は、
それぞれの「仕事」に対するひたむきさと成長していく様子
お客様が一番と考えるホテル側と、まず疑ってかかる警察側の対比
そしてホテルを舞台にした人間模様、であった。

それにしても、接客業は大変だなぁと思う。

1 件のコメント:

  1. はにぃさんの言うとおり、直ぐに映画化されそう。と言うより、映画化前提で書いたんじゃないのかなと思わせる1冊ですね。

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