2013年9月14日土曜日

オレたち花のバブル組

池井戸潤著
文春文庫

半沢直樹第2弾。渡る世間は敵ばかり。またまた「倍返し」の反撃が始まった。



ドラマ「半沢直樹」の視聴率は30%を超え、勢いを増しながら最終回へと向かっている。
本書はその原作本であり、「オレたちバブル入行組」に次ぐ「半沢直樹」シリーズの第2弾である。
第1弾と第2弾のタイトルが、これだけ似通っていて紛らわしいのは何故だろうか。

【あらすじ】
大手銀行のバブル入行組である半沢直樹は、現在営業第二部次長の職にある。
伊勢志摩ホテルが運用失敗により120億円の巨額損失を出した。
半沢は、頭取命令でその再建を押し付けられてしまう。
その上、金融庁検査が入ることになり、ホテルが「分類債権」に分けられてしまうと、巨額の引当金を計上しなければならなくなる。
それにより、銀行の経営問題にまで発展してしまうのだ。
この絶体絶命の危機を乗り越えるために、半沢が立ち上がる。
また一方で、半沢と同期の近藤が、出向先のタミヤ電機の帳簿改ざんに気づき、奮闘していく。

嫌な奴はとことん悪く描かれ、半沢が反撃して懲らしめ、めでたしめでたし。
第1作同様そんなパターンなのだが、わかっていても思わず引き込まれてしまう面白さがある。
回収金額も半沢の昇進と共に、第1弾の5億円から120億円と大幅アップし、スケールが大きくなっている。

上司に向かって「おこがましんだよ」と暴言を吐く。
そんな部下は銀行に限らずなかなかいないと思うが、半沢が言い放つと妙にハマっていて現実味を帯びてくるから不思議だ。
頭に来てもグッとこらえ耐え忍ばなければならないサラリーマンたちにとって、半沢はヒーローなのかもしれない。

ドラマで片岡愛之助さん演じるおネェキャラの金融庁検査官・黒崎が、ドラマのあのキャラそのままに大暴れするのも面白い。
特に、ボイラー室のダンボールを開けて、中身を見たシーンは笑ってしまった。
ただ、金融庁にお勤めの方はこれを読んでどう思うのだろうかと少し心配になってくる。

誰でも楽しめる、これぞエンターテインメントという小説だった。

※前作同様登場人物が多いので、理解を助ける相関図や説明があったら良かったと思う。
※片岡愛之助さんが語る「おネエ検査官役作り秘話」
※「半沢直樹」でスカッとする人は二流らしい??「心理診断『半沢直樹』でスカッとする人はなぜ二流か?」

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