日経ナショナルジオグラフィック社
100年前の人々はどんな服装で暮らしていたのだろうか?
かつてマレーシアに住んでいた。
マレーシアは、主にマレー系・中国系・インド系の人々が共に暮らしている多民族国家である。
私たちと変わらない装いをしている人々も多いが、日常的にそれぞれの民族衣装をまとっている人もよく見かけた。
特に、マレー系・インド系の女性たちは思い思いに工夫を凝らした民族衣装で、私の目を楽しませてくれた。
今では世界中どこへ行ってもスーツ姿のビジネスマンやGパンにTシャツ姿の人を見かける。
民族衣装を着ていたとしても、それは観光客用なのかもしれない。
残念なことではあるが、動きやすさを考えたら仕方のないことだろう。
そして、これからもっと服装のグローバル化は進んでいくのだろうか。
本書は、ナショナルジオグラフィック社が1900年代から1930年代までに世界各地で撮影した貴重な写真を収録した写真集である。
工業製品とは違う手作りの布や服装をまとい、「ハレとケ」がはっきりしていた時代がそこにある。
自家製のゆりかごで赤ちゃんをあやしているドイツの女性の笑顔は、母になった喜びからか、それとも慣れないカメラを向けられて照れているのだろうか。
この手を繋いでいる深窓の令嬢たちは、普段何をして遊んでいるのだろうか。
この豪華な婚礼衣装は、嫁ぐ喜びと不安を抱きながら複雑な思いでひと針ひと針刺繍したのだろうか。
と想像しながら眺めていると時が経つのも忘れてしまう。
服装だけでなく、帽子や靴、装飾品、化粧、そして背景もまた私を100年前の世界に連れて行ってくれる。
ロシア・南ダゲスタンの女性は宝飾品で飾り立てすまし顔でカメラを見つめているが、眉毛はこち亀の両津のように不自然なほど太くつながっている。
調べてみたら、「眉毛はつながっているほどいい」とこの地方では今でもわざとつなげる化粧をしているらしい。(参考:「眉毛はつながっているほどセクシー度がアップするというタジキスタンの女性たち」)
100年前の人々はどんな服装で暮らしていたのだろうか。
そんな好奇心を満たしてくれ、いくら眺めていて飽きない写真集である。
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