2012年12月23日日曜日

江戸の下半身事情

江戸の下半身事情
永井義男著
祥伝社



江戸時代にはどんな「事情」があったのだろうか?
 
 


本書は、「江戸期の春本はかなり目を通してきた」という著者が、江戸の「事情」についてわかりやすく解説している本である。

お金持ちにしろ貧乏人にしろ木造家屋に住み、部屋の境界は障子や襖・薄い木の壁なのだから、
ちょっとした音は筒抜け。
岡場所や女郎屋では割床(相部屋)が普通。
長屋では横に家族が寝ている。
そんな「事情」では、羞恥心などとは言っていられず、割り切るしかなかったのだろう。

江戸の人々は今と比べて、よく言えば寛容でおおらか、悪く言えば野放図で罪悪感がなかったという。
「女郎買いは男の甲斐性」
「元遊女の女は自分が遊女であったことを隠したりしない」
「葬式のあとに男が精進落としと称して女郎屋に繰り込むのは普通のこと」
というのだから、やはり現代とは少し感覚が違うようだ。

「女郎買いするならまだしも、素人の女に手を出すのは性悪だよ」
・・・現代でも素人と不倫するよりは、玄人さんと遊んだほうがましなのだろうか。
「娼家が幹線道路沿いで堂々と営業し、それなりの身分の男が白昼堂々と出入りしている奔放さ」
・・・今も大通り沿いに派手な看板を見かけるし、それなりの身分の方が白昼堂々と遊んでいそう。
現代とも共通する点もありそうだ。

江戸時代も現代も取り巻く環境は違えど、まぁ結局は男と女の関係はたいして変わらないのではないだろうか。

その他
・俳人小林一茶が52歳で初めて妻を迎え、日記に回数(連夜複数回!)を几帳面に記録していた。
・陰間はズズズとすするような所作をしては魅力が薄れるから、とろろ汁や蕎麦の類を客の前で食べてはいけない。
など、本書でも知らなくても困らないトリビアを教えてもらったが、こういった知識がいつか役に立つ時が来るのだろうか。

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