行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅
石田ゆうすけ著
幻冬舎
一生の思い出に残るような宝を世界中を巡って探してみたい。汗かいて自分の足で探したほうが宝に出合えた時の喜びも大きい。(本書より抜粋)
「世界9万5000㎞自転車ひとり旅」シリーズの第3弾「洗面器でヤギごはん」 を読んで一気に著者の魅力に取りつかれ、シリーズの第1弾である本書を手にとった。
食に視点を置いた「洗面器で・・」と同じ旅ではあるが、違うエピソード満載で楽しめる。
出発直前に持病が再発するという危機を乗り越えて、著者は当初3年半の予定だった旅をスタートする。
愛車である赤い自転車に荷物を満載し、重さでグラグラしコントロールがきかないハンドルを握り、どこまでも走り続ける。
本書は旅行エッセイだが、次第に身も心もたくましくなっていく著者の成長記でもある。
前回も思ったのだが、文章がとても読みやすく表現が豊かなので、すぐに惹きつけられる。
走行距離 9万4494㎞
訪問国数 87ヵ国
パンク 184回
本書で、世の中には「チャリダー」(Wikipedia )がたくさんいて、多くの人が自転車で旅していることを知った。
著者も、行く先々でチャリダー仲間と出会い、そして別れる。
偶然何度も出会う仲間もできた。
マサイ族の青年に短距離走の勝負を挑んだり、フンコロガシが自分の排泄物を転がすのを観察したりと、観光ツアーでは味わえない、貴重な体験をしながらひたすら走る。
イランのモスクで英語の辞書片手に村人たちが「We Love You」と言ってくれたとき、
一度も笑わなかった少女が、最後に満面の笑みで両手を大きく振ってくれたとき、
私まで胸にこみ上げてくるものがあった。
またしても、通りすがりの日本人の旅行者に優しい手を差し伸べてくれた世界中の皆さん、ありがとう~!と叫び出したくなる。(著者とはなんの関わりもないのだが。)
汗と涙とホコリにまみれながら、自分の目で世界を見て、色々な背景を持つ人と関わり、苦しい体験、悲しい出来事も経験する。
この旅行によって、著者はどれだけ成長したのだろう。
誰もができるわけではない、世界一周自転車の旅。
だからこそ、これからも著者には色々発信し続けて欲しいと願う。
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