石附浩太郎著
主婦の友社
冬でも美味しく食べられるかき氷。頭がキンとならないかき氷。そんなかき氷専門店を開いている著者の12ヶ月。
大学卒業後、普通のサラリーマンとして働いていた著者は、たまたま立ち寄った長瀞で食べたかき氷に「脳天からカチ割られるほど」の衝撃を受けた。
36歳で会社を辞め、調理学校へ通ったり飲食店でのアルバイトをしながら、38歳の時ついに鎌倉に「埜庵」をオープンする。
その後鵠沼海岸に移転し、「かき氷専門店」として営業を続けている。
この「かき氷屋 埜庵の12カ月」は、そんな著者のかき氷に対するこだわりと情熱がグッと詰まった良書である。
一年中かき氷?
凍えるように寒い日にもかき氷?
屋台でなく店を構えて、しかもかき氷の専門店?
900円もするかき氷?
そんな疑問も本書を読むと納得するのである。
スタッフは、卒業以外で自分からやめた人もやめてもらった人もいないという。
これだけで、お店の温かい雰囲気や店主のお人柄がわかるのではないだろうか。
当初はかき氷だけでやっていくのは難しいと考え、ランチメニューにも力を入れていたが、かき氷のオーダーが一杯もないことに気づき、「かき氷以外のことはやめよう」と覚悟を決める。
(現在は夏の繁忙期以外に「きちんと手をかけて作った料理をお出ししている。」)
生産者の顔が見えるこだわりの果物を使い、時々現場を見に行くという著者。
冬でもおいしく食べてもらうためにシロップの粘度を上げたりと、様々な工夫を凝らしお客様のためにかき氷に情熱を注ぐ著者の姿勢に感動する。
特にこだわっているのが日光で丁寧に育てられた天然氷。
冷凍庫は通常-20℃だが、天然氷の質感が変わってしまうため設定温度-5℃の専用倉庫で保管し、削る際に-2℃に温度を上げてから削るのだという。
氷の中にゼリー寄せにしたぶどうやいちごを入れたり、塩コショウをかける「キャラメルミルク」など他では食べられないメニューが並ぶ。
美味しそうな写真がたくさん掲載されているので、目でも楽しめる一冊である。
そんな中で私が一番食べてみたいと思ったのが、「お米のアングレース」。
粥状に炊いたお米に卵と牛乳を加えたカスタードソースのようなものを氷にかけ、イチゴをトッピングし、別添えの苺ソースをかけて食べるというものだ。
我が家からはとても遠いのだが、ぜひ足を伸ばしてそのかき氷を食べてみたいと思った。
※埜庵のホームページを覗いてみたのだが、あまり力をいれていないのか、本書の写真に比べてイマイチなのが残念である。
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