日本語でどづぞ
柳沢有紀夫著
中継出版
人生に疲れた時、「どづぞ」お読みになってください。
1992年5月18日。 新婚旅行で訪れたケアンズのバス停で、その男は奇跡の出会いをはたした。
ベンチの看板に書かれていた謎の文字 「日本語でどづぞ」。
その世紀の大発見から、男は「日本語でどづそ」学会 を立ち上げたのだ。
海外に散らばっている不思議な日本語の数々。
それらの事例を集め、検証・分析する。
その途方もない努力たるや、感動に値するではないか。
中国で見つけた「エしペーターでー階へどラざ」。
カタカナの「レ」とひらがなの「し」は混同しやすい事を発見し、「どラざ」の意味を考える。
「ソ」と「ン」の違いは、ネイティブでも難しいので、間違えてしまうのは仕方のない事だろう。
漢数字の「二」とカタカナの「ニ」は取り違え事例の基本中の基本である。
しかし、「ナ」と「ネ」など、なぜ間違えるのかわからない事例も多数ある。
翻訳ソフトの結果をそのまま使ったのだと思われる事例もある。
しかし、ペットボトルに書かれた「サソリゐすがァ!」に至っては検証することすら難しい。
サソリの成分でも入っているのか、「!」とは何を強調したいのか。
そんな深くて浅い難問に、真っ向から立ち向かうのだ。
その勇気と熱意を讃えたい。
そして、ぜひ学会員の補欠メンバー末席にでも加わりたい。
「どづぞ」と言ってくれるだろうか。
日本人がわざと作ろうと思っても決して作ることのできない衝撃的な日本語。
今まさにこの瞬間も世界のどこかで生まれているのだ。
もしや、自分でも「どづぞ」外国語バージョン を身につけてやしないかと、ワードローブを見直さなくてはなるまい。
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