2012年3月8日木曜日

偉人の残念な息子たち

偉人の残念な息子たち
森下賢一著
朝日文庫

歴史に名を残した人たち。その息子も立派に育つわけではない。そんな残念な息子たちについて語った一冊。



著者は、1931年生まれの作家、翻訳家。
替え玉試験でハーヴァードを退学になったジョー・ケネディの息子
父の名を使った詐欺で何度も訴えられたエジソンの息子
たった3.5ドルの万引きで逮捕されたアル・カポネの息子
殴り書きの絵を1ドルで観光客に売り付けたゴーギャンの息子
酒と女に溺れ、反抗心でイスラーム教徒になったガンディーの息子
麻薬で医師免許停止、性転換して女性になったヘミングウェイの息子
など11人の残念な息子たちが掲載されている。

偉人というには首を傾げたくなるような方々もいるが、後世に名を残した有名人ではある。
題名から、有名人の息子にスポットを当てた本と思っていたがそうではなかった。
父である有名人の経歴、家族について語った雑学の書であった。

最近も、ティッシュ何箱分だか計算できないくらいの金額をカジノ業界に貢いでしまった方が話題になったが、お金持ちだからといって、また偉大な功績を残したからといって、子育ての才能があるとは限らない。
「インドの父」といわれるガンジーでさえそうなのだから、やっぱり子育ては難しい。
子供の側から見たら、偉大すぎる親の子として生まれプレッシャーもあるだろう。


名前や功績は知っていても、私生活までは知らなかったので、興味深く読めた。
息子たちの話も「残念だね」と笑って読めた。
親が平凡な家庭でよかったとホッとする。

だが、題材はとても面白いのだが、読みにくくて仕方がなかった。
文献をつぎはぎしたような文章で、膨らみがなく、まるであらすじや著者略歴を延々と読んでいるようであった。
苦手だった社会の教科書を思い出してしまう。
内容的にはとても興味深くいい題材なのだから、勿体ない。
あとがきはすんなり読める文章なのに、どうしてだろう。
それが、一番「残念」であった。

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