私を宇宙に連れてって 無重力生活への挑戦
メアリー・ローチ著
池田真紀子著
アメリカ人女性サイエンスライターが好奇心の赴くまま「地球に居ながら宇宙を体験」した本。普段の報道では触れないような内容が盛り沢山で楽しく読める。
口が堅いことで有名な宇宙開発研究機関の扉をこじ開けて、なかなか知ることができない宇宙研究や訓練について楽しく突撃取材している本。
著者は、アメリカ人女性ジャーナリストで、本書を含め何冊も全米ベストセラー入りしている。
最初の章で、JAXAの宇宙飛行士選抜試験に密着取材していた。
これは前に読んだ『宇宙飛行士選抜試験』 を違う方向から見たものだと思い、興味深く読んだ。
今まで、宇宙酔い・排泄などマイナスイメージにつながるようなことはあまり報道されてこなかった。
NASA等もそういったことは隠ぺいしている。
なぜなら、ただでさえ不足がちな予算をさらに削られることへの恐怖からだ。
NASAの「宇宙飛行士責任規定」には、「不品行との印象を与えないよう努力すること」と書いてあるという。
暴露本を出したり、「オムツ事件」を起こした人もいたなぁと思いながら読み進める。
また、向井万起男さんの著書で、宇宙飛行士の訓練の細かさ・マニュアルの分厚さなどが載っていて
命にかかわるから大変なんだなぁと思っていた。
なぜそこまで細かくこだわるのかということがこの本を読むとよくわかる。
塵一つでも命取りになる宇宙。宇宙酔いになり吐いてしまったら、空気がないため吐瀉物が流れず呼吸を止めてしまうこともあるという。
それだけではない。尿や便だって、排泄に失敗して部屋を漂いはじめたら・・・笑いごとではない。
私が一番面白いと感じたのは、「寝たきり実験」---ベッドで寝てるだけでNASAから給料をもらう方法---であった。
1日24時間3か月間、シャワーを浴びるときも、食事・トイレも上半身を起こすことは許されない、
過酷なんだか、楽ちんなんだかわからない実験。
報酬は、3食付きで3カ月17000ドル!
無重力空間に長く滞在し、骨や筋肉が衰えるのと同じような環境を作り、その身体的変化を理解し、防ぐ最良の方法を探ることを目的としているという。
また、日本女子大学が開発した光触媒を使った「宇宙下着」を若田光一さんが28日間穿き続けても不快感はなかった、という話も誇らしく感じた。
その他、なかなか聞けない性ににまつわる話や、お風呂に入らないで耐える「不潔実験」、
宇宙食のみを食べる実験、リサイクルした尿を飲むなど、もともと知識のない私が疑問にすら思わなかったことが載っていて楽しめた。
ときには、高所恐怖症なので絶叫しそうになったり、うえぇと声を出してしまったり、眉をひそめた
り、といった箇所もあった。
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