2011年11月22日火曜日

建築家 安藤忠雄

建築家 安藤忠雄
安藤忠雄著
新潮社


建築家・安藤忠雄氏の自伝。プロボクサーから独学で建築家になるという異色の経歴がずっと気になっていました。



建築関係に疎い人でも彼の名前を知っているほど有名な安藤忠雄氏。
生まれてすぐ、1人娘であった母の実家の後継ぎになるため祖父母の家に養子に出された。
勉強は嫌いな少年であった。工業高校に通っているときボクシングに出会い、始めて1か月足らずでプロテストに合格する。
6回戦まで進んだ頃、、ファイティング原田のスパークリングを見て「次元が違う。」と才能の違いに気付き、ボクシングをやめる。
高校卒業後、インテリアの設計などをしながら、丹下健三の建築を巡る日本一周旅行・欧州旅行をしながら独学で建築を学ぶ。
そのエネルギッシュな半生を作品と共に自ら語った一冊。

コンクリートの打ち放しにこだわっている著者だが、後半部分はその作品の紹介・解説となっている。
芸術的センスゼロの私が見ても美しいと思う。
コンクリートにこだわる理由も書いてあった。
ただ、実際に住んでいる人・働いている人にとってはどうなのだろうか。
住み心地は?美にこだわる人でなければ辛いのではないかと考えてしまう。
冬の暖房効率はどうなのだろう?底冷えしそうな気がするけど。

六甲の集合住宅群は写真で見ると本当に美しい。
ただ、真ん中に何段あるの?というような大階段があるが、そこを子育て中の主婦は買い物袋と小さい子の手をひいて上り下りするのだろうか?
建物の真ん中を中庭のようにした住宅やショッピングセンター。
雨の日には、部屋から部屋へ移動するときには傘が必要って、私はそんな家住めない。
真冬に買い物に行ってお店からお店へ移る時、コート着たり、また脱いだりって面倒臭い。
こういう芸術を理解しない私のような人は、普通の住宅メーカーの家が一番なんだろう。

仕事場では、著者の机の周りにのみ電話を置き、海外との取引以外、fax・メール・個人の電話禁止だそう。それだと、電話の内容から部下の仕事の進捗状況やトラブルもすぐにわかり、作品に対する責任をもてるからという。
ときに怒鳴り・殴り・部下を叱りつけて真剣に仕事に取り組む姿勢と覚悟が、あの美しい建物を作るのだろう。

「何を人生の幸福と考えるか、考えはひとそれぞれでいいだろう。」と著者は言う。
私は遠くから美しい建物を眺めるだけでいい。

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