2016年9月21日水曜日

なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界は変わったのか?

アイドルと簿記がコラボした!? その上SFで戯曲!?一体どうなるの?



問  机を現金1万円で買いました。この取引を仕訳しなさい。

答  備品 10000 / 現金 10000

簿記の勉強は、このような問題から始まります。
物を買うと資産が増えるので左側(借方)に書き、その分お金が減るので右側(貸方)に書くと習うのです。
そして、聞いたことのない単語が次から次へと出てくるので、丸暗記するしかなく、ついていくのに必死でした。
解説を聞くとなるほどと思う反面、なんだかよくわからずにモヤモヤしたまま勉強を続けました。

そのモヤモヤの原因は、全体像がわからないことにあります。
目先の問題に手一杯で、その先が見えないのです。

そうです。私はかつて簿記の勉強をしていました。
簿記関連の試験でいうと、日商簿記の3級と2級、税理士試験の簿記論と財務諸表論に合格しました。
とは言うものの、実務経験はほとんどありませんし、遠い昔のことなので、今は素人に毛が生えた程度の知識しかありません。
いまだに私の中でくすぶっているモヤモヤが少しでも晴れたらと思い、この本を手に取りました。

本書は、乃木坂46のメンバーである衛藤美彩さんを主人公とした物語です。

複式簿記のない世界になぜか迷い込んでしまった美彩さんが、戸惑いながらも複式簿記を広めていく、といったストーリーです。

シナリオという事で、ほとんどが会話文なので読みやすく、ラノベ風の軽さがあります。
内容も、「複式簿記とは何か」を理解するのに役立つよう工夫されています。

でも、「これから簿記を勉強される方にも読んで欲しい」と紹介文に書いてありましたが、会計用語がたくさん出てきますから、簿記未経験者には難しいのではないかと感じました。
特に最初の仕訳部分は基礎中の基礎なのですが、私にはわかりづらく、読み返した箇所がいくつかありました。
後半に進むにつれ、ストーリーが手助けとなって、読みやすさが加速していきましたが。

また、一冊に色々な情報が詰め込まれ過ぎていて、そこに無理があると感じました。
アイドルとのコラボ、わかりやすいシナリオ形式、ラノベ風ストーリーというアイディアはとても斬新なので、だからこそもったいないと思うのです。

せっかくですから、対象者を絞り、内容を細分化して、簿記未経験の方でもわかる入門編から始めてシリーズ化したらどうでしょうか?

ちなみに我が家のぐうたら娘(アイドルオタク、今は欅坂ファン)は、表紙を見て「読みたい!」と飛び付いたものの、15ページほどで挫折しました。

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