2014年1月25日土曜日

ヴルスト! ヴルスト! ヴルスト!

原宏一著
光文社

ドイツのソーセージってそんなに美味しいのだろうか?読んだら食べたくなる、ソーセージ作りの物語。





マレーシアに住んでいた時のことです。
イスラム教徒の多い国なので、豚肉入りソーセージはスーパーの片隅でひっそりと売られていました。
私自身はそこで売られているソーセージで十分満足していたのですが、ドイツ人の友人は「どうしてこの国のソーセージはこんなにまずいんだろう」といつも言っていました。
そして、本場の味を食べさせてあげるからと、ドイツに一時帰国するたびにソーセージをお土産にくれたのでした。
そのソーセージは、日持ちがするように透明な液体で満たされた細長いガラス瓶に入っていました。
食べてみると美味しいのですが、味音痴の私には残念ながら「本場感」や「特別感」を感じることができませんでした。
瓶詰めだったからでしょうか?

でも、この「ヴルスト!ヴルスト!ヴルスト!」を読んで、改めて本場のソーセージを食べてみたくなりました。
「ヴルスト」とは、ドイツ語でソーセージのことです。

主人公の 勇人 19歳は、高校中退後、中華料理店で働いていました。
あるきっかけから、高等学校卒業程度認定試験・通称「高認」合格、大学進学を目指すことになります。
仕事も辞め、一年後に取り壊しが決定しているボロアパート「かなめ荘」で勉強に集中しようと決意します。
そしてそのアパートで、もう一人の住人 髭太郎 59歳に出会うのです。
髭太郎は、素人ながら「世界中のどこにもねえ、俺にしか作れねえ本格派の特製ヴルストを開発してやろうと思っている」と、ヴルスト職人を目指して奮闘していました。
「人生最後の挑戦だ!」と必死の覚悟です。
ひょんなことから、勇人はそのヴルスト作りを手伝うことになります。
そこから二人の挑戦がはじまりました。

ヴルストの歴史や種類、製造方法なども詳しく書かれているので、ソーセージに興味がわいてきます。
やはり、日本で食べる寿司と海外で食べられているSUSHIが違うように、私が食べているソーセージとドイツのヴルストとは違うのでしょうか。
個人的には、日本ハ○のアンティ○ レモン&パセリは美味しくて好きなんだけどなぁ。
それをドイツ人が食べたらどう思うのでしょうか。
そういえば、前述のドイツ人の友人に日系スーパーで買ったシャ○エッセンをプレゼントしたら、これは違うと言っていたのを思い出しました。

「勇人は19歳なのに、お酒を飲む場面が度々出てくる」「都合が良すぎる設定」など、気になるところはありましたが、アパートの大家さんなど脇役も個性派ぞろいで楽しく読めました。
覚悟を決めて邁進する二人を応援したくなる、元気が出る小説でした。

読み終わると誰でも「本格的なソーセージが食べたい!」と思うことでしょう。
ドイツ帰りのヴルスト職人が作るお店もあるようなので、お取り寄せしてみようかな。
それとも、本物のソーセージは本場ドイツに行かないと食べられないのでしょうか。
でも、そんなこと言ったら髭太郎に「ソーセージじゃない!ヴルストだっ!」と怒られそうですが。

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