2013年11月5日火曜日

マラソン中毒者 北極、南極、砂漠マラソン世界一のビジネスマン

小野裕史著
文藝春秋

南極・北極を走り、灼熱の砂漠を7日間で250Km走り続ける!これぞまさにジャンキーだ!



マラソンとは、中毒になるものらしい。
父は元気だった頃、毎月各地のマラソン大会に出場していた。
叔父は、もっと重症だ。
大怪我をして医者に止められているにもかかわらず、相変わらずマラソン大会にエントリーして、熊野古道を走り回ったり、富士山を走って登る大会にまで出場している。
私自身も楽しいから毎日運動を続けているのだが、長距離を走るのは苦しそうでとても挑戦したいという気になれない。

しかし、世の中には上には上がいるらしい。
この「マラソン中毒者」の著者は、数え切れない程のフルマラソンや100Kmマラソンを完走しているのである。

ベンチャー企業経営者からベンチャー投資家になった著者は、元々は運動経験ゼロのインドア派だったという。
それが、ちょっとしたきっかけから走り始め、3ヶ月後にはフルマラソン、11ヶ月目には100Kmマラソンを完走してしまうのだ。
私にとっては、42.195Kmだって走ったり歩いたりする距離じゃない。
車か電車移動の距離だ。
それを100Kmとは!

まばたきをすると、上のまつ毛と下のまつ毛の氷がくっついて目が開かなくなってしまうという想像を絶する寒さの中、北極マラソンを走る。
南極では、フルマラソンでは飽き足らず100Kmマラソンを走る。
もはや何かに取り憑かれているとしか思えない・・・
しかも、頼まれてもいないのに忍者のコスプレをしながら走るのだから、もう頭の中に「crazy」の文字が浮かんでくるではないか!

そして、高山病の危険もある高地の灼熱の砂漠を、荷物10kgを背負いながら、7日間で250Km走り抜けるというレースに、チームでエントリーするのだ。
誘われた友人たちも、経験が浅いながら二つ返事で参加するのだから、マラソン中毒は伝染するのかもしれない。
しかも彼らは、なるべく荷物を軽くする工夫はしても、コスプレ衣装を置いていくことは考えていないのだ!

ある意味こんな怖い本もない。
軽妙な語り口調で笑わせてくれ、走るのって楽しそうと一瞬思ってしまうが、違う違う。
冷静に考えると、いや冷静に考えなくても、なんて無謀な!なんて危険な!と怖くなってくるのである。
もう止めてぇ~!と何度思ったことだろう。
読みながら、「著者はこの先大丈夫なのだろうか?この本が出版されているということは無事に違いない。」と自分に言い聞かせ続けなければならなかった。

彼らはなぜ走るのだろうか。
ゴールの先には何が見えるのだろうか。
自らエントリーし、時間とお金をかけて大会に出場し、苦しい思いをするのだから、よっぽど素敵な何かが、走る者にしか見えない何かが、そこにはあるに違いない。
彼らこそ、まさしく素敵なジャンキーだ!

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