2013年11月3日日曜日

祈りの幕が下りる時

東野圭吾著
講談社

一気読みでした!「加賀恭一郎シリーズ」の10作目



養護施設で育ち、苦労しながら、夢見ていた大きな舞台を成功させた女性演出家。
彼女を訪ねてきた幼馴染みが、数日後遺体で発見された。
同時期にホームレスが河川敷で殺害され、テントが燃やされる事件があった。
二つの事件を追ううちに、過去の悲しい出来事、複雑に絡み合った人間模様が徐々に明らかにされていく。
本書は、東野圭吾氏による「加賀恭一郎シリーズ」の10作目である。

「新参者」「麒麟の翼」で出てきた場所や出来事があちこちに登場したり、加賀が子供の頃に突然失踪した母親のことも次第に明らかになっていく。
普段あまり感情をあらわにしないクールな加賀だが、彼の中にある温かみや情熱をも感じさせてくれる、加賀シリーズのファンには見逃せない一冊である。

ストーリー的にも、冒頭から惹きつけられ、一気読みせずにはいられない。
前作「麒麟の翼」をご本人が「自己最高傑作」とおっしゃっていたが、正直とてもそんな風には思えなかった。
本書の方がよっぽど面白く、加賀シリーズの中では一番読み応えがあるように感じた。
「麒麟の翼」より活字量が多く、人物の心情が細やかに描かれていたからだろうか。

親が子を想う気持ち、追い詰められていく犯人・・・確かに今までどこかで読んだことのあるような題材なのだが、読者を夢中にさせるのだから人気がある作家だというのは頷ける。

これぞエンターテインメントだなぁ。

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