池井戸潤著
文春文庫
堺雅人よりもっと泥臭い半沢直樹。
絶好調のドラマ「半沢直樹」を、毎週欠かさず見ている。
悪者はとことん悪くというわかりやすさ、顔のドアップの多用、劇画ちっくな大げさな演技・・・
見たら最後、思わず引き込まれてしまうので、視聴率が高いのも頷ける。
見たことがない方も、その評判は耳に入っているだろう。
そのドラマの前半部分の原作がこの「オレたちバブル入行組」である。
【あらすじ】
主人公の 半沢直樹 は、バブル期に大手都市銀に大量採用されたうちの一人。
現在は、大阪西支店の融資課長である。
支店長からの指示により、不本意ながら融資した会社が倒産した。
支店長は、全ての責任を半沢直樹一人に押し付けようとする。
このピンチを乗り切るには債権回収しかない。
さあ、どうする!?半沢直樹!!
実父は自殺(ドラマ)⇒ 死んではいない(原作)など違う箇所もあるが、ドラマは概ね原作通りである。
ただ、ドラマでの決め台詞「倍返し」は頻繁に出てくるわけではなかったが。
銀行を舞台にしているため業界用語がたくさん出てくるが、わかりやすく説明してくれているので読みやすい。
しかし、登場人物が多い!
ドラマを見ているから頭に入るものの、見ていなかったら頭が混乱しまくっただろう。
読みやすく、スピーディーな展開、そして何より面白い!
これだけ人気があるのも納得する。
その上、「悪い奴をやっつける」という復讐劇のパターンが、爽快感を与えてくれる。
「日頃自分では言えない上司への苦言を、半沢に代わりに言ってもらって溜飲を下げる」という感じだろうか。
何しろ出てくる上司たちが、とことん悪く描かれていて憎たらしいほどだ。
上にはペコペコ、下には威張り散らす、立場が弱くなると途端にオロオロする。
そんな悪者を、半沢直樹が倍返しする場面は拍手喝采したくなる。
ただ、単純に勧善懲悪の物語とは言えない。
悪い奴は悪いが、半沢直樹だって誰が見てもいい人っていうわけではない。
味方につけたら勇気百倍だが、敵に回したらこんな恐ろしい男はいない。
この物語の評価は、半沢を応援できるかできないかにかかっていると思う。
こんなヤツいない、大げさすぎると思わずに、頑張れ半沢!よし、よくやった!と思えるかどうかだろう。
何度も訪れる絶体絶命の危機。
ギリギリまで追い詰められてからの大逆転劇。
叩かれても叩かれても這い上がる・・・まるで「立て~、立つんだ!ジョー!」の世界のようだ。
やっぱり劇画の世界じゃないか。
ドラマは後半戦に突入し、きっと半沢が大反撃を見せてくれるだろうと期待している。
また、「半沢直樹」シリーズも第4作目が連載中だという。
こうなったら「島耕作」のように、半沢が頭取に上り詰めるまで頑張って欲しい。
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