2013年8月9日金曜日

残月

高田郁著
角川春樹事務所

高田郁さん、どうか、どうか澪を幸せにしてあげてください。


幼い頃に両親を亡くし、天涯孤独となってしまった主人公・澪。
故郷・大坂での料亭修行を経て、今は江戸・神田の料理屋「つる家」の調理場で腕をふるっている。
店主を始めとした温かい人々に囲まれながら日々精進しているのだが、そんな健気な澪を次々と試練が襲う・・・
みおつくし料理帖シリーズの8作目である。

澪を悲しみのどん底に突き落とし、読者に衝撃を与えた前作から1年余。
作者の高田郁さんはなんてサディスティックな方なんだ、ここまで苦しめなくてもいいじゃないかと思っていた。

本作も試練の連続で澪を困らせるのだが、天満一兆庵の若旦那の消息、ふきの料理人としての成長ぶり、そして幼馴染の野江にも一筋の希望の光が見えてきたではないか!

生きていて良かった、と自分で思えることが、何より大事なんです。
りうが呟くその言葉は、登場人物だけでなく私の胸にも染み渡る。
そう、今は辛くともいつか「生きていて良かった」と思える日がきっと来るから。
(そうですよね?高田さん!)

澪には是非とも幸せになって欲しい。
いつの日か天満一兆庵を再建し、身請け銭を作り、野江を身請けする・・・そんな澪の夢が叶いますように、そう願わずにいられない。

※前巻でショックを受け、まだ本巻を未読な方にも安心して読める内容だと思います。
そして、このシリーズを未読の方はマズイですよ~としか言いようがない。
ぜひとも1巻から読んでみてください。

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