気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子著
毎日新聞社
科学記者となった著者の楽しいエッセイ集。
小説を読むのも好きだが、気軽にへぇ〜と思えるような本を読むのも好きだ。
生き物や宇宙などの科学にも興味はあるのだが、専門的な本はもう単語からして理解できないので敬遠しがちになる。
わかりやすく面白い本なら大歓迎なのだが。
本書は、教育学部で国語教師の資格をとり、その後毎日新聞の科学記者となった著者のエッセイ集である。
有名な種牛の精液は、ストローくらいの細い筒に入って何万円もするそうだ。
焦らして焦らして焦らしたあと、メス牛の皮をかけたあん馬のようなものに乗らせて採取する。
そんな話を聞いて、肉好きだという著者はドナドナを感じながらも「牛さんありがとう」と感謝する。
宇宙の「130億年前の赤ちゃん星」や「40億年後に衝突」という文字通り天文学的な数に「はぁ。誰か助けて」と嘆く様子は、親近感がわく。
また、「天文学者はロマンチスト」というのは誤解だそうで、実際は生き馬の目を抜く世界で天体望遠鏡など何年も触っていないとか、夜空を眺めるのではなく電磁波で観測したデータを眺める世界なのだという。
う〜ん。やっぱり天文学者は子供の頃から星が好きで、星空を眺めながら熱く語るロマンチスト…というイメージのままでいて欲しい。
・激しい損傷を受けた細胞やフリーズドライの細胞からもクローン胚を作ることに成功していて、理論的には「はく製からのクローン」も可能
・スパムメールの削除・フィルタリング時の検証作業など、迷惑メールの送受信や対策に費やす電力が2008年には330億kwにのぼった。(日本の一般家庭の年間消費電力に換算すると約920万世帯分)
という話には驚いた。
その他科学の話に限らず、菊池直子の枯れ具合、死語となった男女交際の「ABC」などなど、興味深い話や、原発事故取材日記が掲載されている。
題名に「科学」とついてはいるが、少し絡んでいるかな?という程度の雑学風エッセイで、気軽に楽しく読めた。
0 件のコメント:
コメントを投稿
閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。