毛沢東の赤ワイン 電脳建築家、世界を食べる
坂村健著
角川書店(角川グループパブリッシング)
セレブの食生活、海外編。
「世界各地の食の話だ、面白そう」と思い、本書を手にとった。
電脳建築家--コンピュータ・アーキテクトとはどんな仕事なのか、
著者の坂村健氏(Wikipedia )とはどんな方なのか、
恥ずかしながら全く知らなかった。
あの「TRON」を開発した有名な方だったのに。
(いや、TRONって何かは正直よくわからないのだが。)
本書は、その坂村氏が世界各地で食べてきた食とワインについてのエッセイである。
フィンランドでコース料理を皆で作って食べるというゴルフ接待ならぬ「キッチン接待」を受けたり、故宮(紫禁城)での講演を依頼されたりと、世界中から招待される立場の方なので食事は一流レストラン、料理もそしてワインも、まぁ高そうなものばかり。
多数の写真が掲載されているのだが、豪華な料理の数々に思わず見入ってしまう。
機内食だって、テーブルクロスの上に陶器の器という、エコノミー専門の庶民とは違うクラスにご搭乗されている。
これだけいいものを食べていたらさぞかし舌も肥えるだろうなと思いながら、こちらは指をくわえて写真を眺めるばかりだ。
また、インドの大富豪の家に招待され、召使たちがプールに大量のエビアンをドバドバ注ぐ「エビアンプール」を楽しんだりと、食だけでなく私が一生体験できないようなエピソードも満載だ。
その他
・上海で一番売れているペットボトルはサントリーの烏龍茶。
・『神の雫』(Wikipedia) は、韓国・中国のワイン消費を加速し、パリのワインショップにも仏語版が置かれている。
・スペインでは日本食といえば「ソース焼きそば」が代表的。
といった情報と共に、各地の文化や食の背景について語っている。
ミシュランガイドの星の話や、ヌーベル・キュイジーヌと昔ながらのクラシックな料理の話などは、なるほどと思わず聞き入って(読み入って)しまう。
いや、縁遠い話なのだが。
ただ、著者は「アジアの屋台で食べるのには心理的な抵抗がある」という方で、衛生事情の悪い国では食器をアルコールティッシュで拭くのだという。
気持ちは分かるのだが、あんな美味しい屋台料理が食べられないなんてかわいそうにと負け惜しみを言いたくなってしまった。
ワイン好きの方、高級レストランや海外によく行かれるセレブの方におすすめの一冊だ。
※題名の「毛沢東の赤ワイン」とは、「毛沢東が我が国ならワインでも自国でできるだろうと言って、その命令により造られた中国最初の赤ワインの1本」と言われて飲んだワインのことである。
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