確証
今野敏著
双葉社
俺たち盗犯係には、確証と同じくらい大切なものがあるんだ。それは、盗人の気持ちを理解するということだ。
警視庁捜査第三課に所属している 荻尾 は、盗犯の捜査を担当している。
注目度の高い捜査一課と比べると地味ではあるが、長年コツコツと窃盗の捜査を続けてきた。
高級時計店に強盗が入ったその12時間後に、すぐそばの宝飾店から5000万円相当のネックレスのみ盗まれるという窃盗事件が起きた。
荻尾は、「この窃盗事件は強盗犯に向けてのメッセージだ、窃盗犯には窃盗犯のプライドがある」と主張するが、捜査一課には相手にされない。
果たして真相は・・・?
本書は、窃盗犯と長年向き合ってきた刑事にスポットを当てた警察小説である。
主人公の刑事・荻尾 は、地道な捜査で培った経験、頭の中に蓄積されている情報から職人のように事件を解決していく。
職人といえばこの小説にはプライドを持って仕事をしている人々が出てくる。
店の品に対して愛情を持っている宝飾店の店長、地道な作業を続けるベテラン鑑識係員。
犯人側にも自分の仕事ぶりにこだわる人々が出てくる。
盗みの技術を開発することに熱中している元窃盗犯は、車椅子のため現役を退いていてその技術を使用することはないが、想像の世界で盗みを働いているという。
そんな自分の仕事にこだわる人々の真摯な想いが伝わって来るような一冊だった。
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