西の魔女が死んだ
梨木香歩著
新潮社
かつて同居していたおばあちゃんと、色々な話をした。
一緒にカレーを作ったこともあった。
母と違っておばあちゃんは怒らなかった。
図に乗って色々頼んで、おばあちゃんを困らせても怒らなかった。
そんなおばあちゃんを思い出す本だった。
おばあちゃんが死んだ。
「西の魔女」と呼んでいる英国人のおばあちゃんだ。
まい は、中学入学後登校拒否になった時期に、おばあちゃんと過ごしたひとときを思い出す。
あらすじを簡単に書くとたったこれだけで終わってしまう。
でも、この本の中には、まいとおばあちゃんとの思い出がぎゅっと詰まっている。
おばあちゃんと、パンを並べて材料をポンポン置いていきサンドイッチを作ったこと。
鍋をかき混ぜてジャムを作ったこと。
シーツを足で踏みながら洗濯したこと、洗濯物をキチンと畳んだこと。・・・
そんな自然の中の日常の風景・二人で過ごした様子を読んでいると、どんどん想像が膨らんでいく。
草の香りが漂ってきて、おばあちゃんちの外壁はペンキがところどころ剥げていて、窓は木枠で開けるときにガタッと音がする・・・
私の頭の中でおばあちゃんの家や庭がくっきり浮かんでくるのだ。
そして、まるで自分が まい であるかのように思えてきた。
まい は13歳の女の子なのに!
積ん読の山に埋もれていたこの本を引っ張り出して読んだのだが、なぜもっと早くに読まなかったのだろうか。
私にとっては、これから何度も読み返したい大切な一冊になった。
ヘンな本ばかり読んでスレた女になってしまったと感じていた自分が、こんなに感動できたことに驚いた。
自分にもまだこんな感情があったんだと嬉しくもなった。
私も西の魔女に魔法をかけてもらったのかもしれない。
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