罪の余白
芦沢央著
角川書店
「自己愛」と「親子愛」の闘いの物語。大切な人を失った時、あなたならどうしますか?
大学で動物行動心理学を教えている 安藤 は、妻を8年前に亡くし、高校生の娘・加奈 と二人で暮らしていた。
大切な 加奈 が、高校のベランダから墜落死する。
自殺と思い嘆き悲しむ 安藤 のもとに、クラスメートを名乗る少女が現れる。
加奈 のパソコンに残された日記を読んだ 安藤 は、娘の悩みを知る。
そこから 安藤 の闘いが始まった---。
第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
女子高生のヒエラルキーがリアルに書かれていて怖い。
私の高校時代にもなんとなくクラスでの「立ち位置」が決まっていたが、現役女子校生に話を聞くと今はもっとすごいらしい。
最近も「いじめ事件」が問題になっていることもあり、あり得るなというか、あるあると思ってしまう現実感が怖いのである。
そして、PCに残された日記の内容がわかった時、読んでいる私も緊張が高まり、一気にスリリングな展開へ向かっていく。
題材的に、悲しく辛い内容なのだが、最後に一筋の光が見え、少しは救われた気がした。
美しいが、無表情でまるで精巧なロボットのように見える安藤の同僚・早苗が、脇役ながら興味深く描かれていた。
人の感情を読み取ることができないため対人関係が苦手なのだが、嘘や社交辞令が言えず不器用で正直なところが好感が持てる。
そして、気になったのが作中に出てくる「ベタ」(闘魚) 。
ストーリーとは直接関係ないのだが、効果的な演出となっている。
この著者はこれがデビュー作だという。
体言止めの乱用で、一部脚本のト書きのように感じるところが残念なのだが、力のある方だなぁと思った。
これからの活躍を期待したい。
芦沢央さんはこれからの作家さんですね!
返信削除よんでびっくりしましたよ。こんなに力があるなんて。
冷淡な部分も諸々ひっくるめて良くできてるな~。
おもしろい作品でした。
しかし芦沢央さん、初の作家さんなので、ネットで検索してみたら、
いろいろ期待できるって書いてあるサイト、ありました。
http://www.birthday-energy.co.jp/
これからもがんばってほしいですね!
パドラーさん♪
削除芦沢央さん、デビュー作なんですよね。
これから、追いかけてみたいと思います。
コメントありがとうございました☆