八幡和郎 監修
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声に出して読みたい武士語の解説書でござる。 拙者もこれで、武士語通訳者になれるかもしれぬ・・・?
1951年生まれの著者は、東大・通産省を経て、現在評論家として活動中。
政治・経済・歴史・文化等に精通し、欧州の王室制度にも詳しく、皇室論を週刊誌等で展開している。
私はほとんど時代劇を見ないので、この本を理解できるか心配したが、杞憂でござった。
「お主も悪じゃのう」「よきにはからえ」など聞いたことがある言葉をわかりやすく解説してある楽しい本であった。
意味があやふやだった言葉、誤解していた言葉もあり、
江戸を舞台にした小説を読むのが好きな私にはぴったりの本なのでござる。
(以下『』内は全て掲載語)
とにかく愉快で堪らんのでござる。
『せちがらい』世の中この本を読むとホッとするでござろう。
『お頼み申す』と頼まれれば、武士の面目で断れず『心得た』と助立ちするのが武士の作法とは武士の世界も辛いよのうと同情する。
この本を読んだ今なら、『悪代官』に襲われても『ご無体な』と的確な言葉を返せそう。
あの事がばれて『お白州』に引きずり出されても、大丈夫。
『ぬれぎぬ』です、『滅相もございません』と『白を切る』ことにしよう。
『うぶなやつ』と見逃してくれるかもしれない。
『身に覚えがあろう』『これが目に入らぬか』と証拠を突きつけられたらどうしよう。
『白状』するしかないのだろうか。
もうこれで武士語なんか怖くない。
どこからでも『かかってまいれ』という気分になる。
武士語の翻訳家を志す人の役に立ちそうなのが第4章の「現代語を武士語に変換してみる」。
天気予報やニュース速報、一発ギャグ、歌謡曲、「雪国」「坊ちゃん」などの小説、
政治家の言葉など多方面の言葉を武士語に翻訳してくれている。
「そんなの関係ねぇ」→ 「左様なことは関わりござらぬ」
「親譲りの無鉄砲で」→「親より受け継ぎし無鉄砲ゆえ」
「4番線から大船駅行きが発車します」→「四番線より大船へまいるエレキ籠が発するところでござる」
「冷たくしてもなお 寄り添う気持ちがあればいいのさ」
→「冷たくすれども 寄りて添う心根があれば良いのでござる」
この本を読んでいると、『かたじけない』がつい武士語が口から出てしまうのでござる。
『しからばご免』でござる。
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