2011年10月17日月曜日

本朝金瓶梅 西国漫遊篇


本朝金瓶梅 西国漫遊篇
林真理子著
文春文庫

林真理子の「本朝金瓶梅」。またまた女好き西門屋慶左衛門でございます。今度は上方・京の町にやってきたのでございます。そこは慶左衛門、ただでは済みますまい。妾達も男を漁り、大変なことになるのでございます。



西門屋慶左衛門といえば、無類の女好きで江戸では有名でございます。
金はあり、顔もよし、妻子がいながら、妾も同居させるつわものでございます。
それだけでは飽き足らず、あちこちつまみ食いしているのですから、
困ったお人ではございませんか。
そんな慶左衛門の息子殿が萎えてしまったのだからさあ大変。
妾二人を従えて、息子殿が元気になるように旅立ったのでございます。
お伊勢参りをして、怪しげな女に元気にしてもらったのが、今までのお話でございます。

そして、今度の西国漫遊篇となるのでございます。
元気になったことを一緒に旅している妾達に知られたら毎晩せがまれて大変になるうえに、
つまみ食いもなかなかできないではございませんか。
何とか内密にしたい慶左衛門でありました。
妾達も、江戸一の性悪女と呼び名が高い女でございます。
二人で結託して、慶左衛門の不足を補うべく、男たちを漁るのでございます。
もう、狐と狸の化かし合いとでも申しましょうか。

そして・・・とんでもない珍道中なのでございました。

何といってもこの本の魅力は、ばかばかしい笑いに尽きるのではないでしょうか。
馬鹿丁寧な「~ございます。」言葉で、ばかばかしいことをいちいち報告してくれるのですから
おかしいではございませんか。
復活した息子殿を最初に使ったのがなんと、男の後ろだったのです。
天下の慶左衛門としたことが何と情けないことでございましょう。
海に入っていいことをすれば、亀に大事なところを噛まれてしまう。
お間抜けなことこの上ないのでございます。
この気持ちよさはいえいえ、このおかしさは、体験してみないといえいえ、
読んでみないとわからないのでございます。

途中、何の因果か道連れが増え、てんやわんやの大騒ぎになっていくのでございます。
無事にお江戸に帰った後も色々と騒動が待ち受けているのでございます。
全く人間というものは、どうしてこうも色の道が好きで好きでたまらない生きものなのでしょうか。

これで、このシリーズは打ち止めなのでございましょうか。
西門屋慶左衛門を欲してやまないのは、江戸の女ばかりではありません。
かくいうわたくしも早く続きが読みたくてうずうずしているのでございます。
たとえ、このシリーズが終わったといたしましても、
慶左衛門の色の道はまだまだ続くのでございましょう。

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